「刺身とお好み焼きの組み合わせは難しいね。カワハギの味見をしてみて」 「シコシコして新鮮でおいしいわ。でもお好み焼き屋のように熱い鉄板の 近くでお刺身って訳にもいかないわね」 「お好み焼き屋をやめて、居酒屋にしようか」 「駄目よ。お好み焼き屋で成功させないと駄目よ。居酒屋を始めても、 お客さんに来てもらうのが大変よ」 「解ってるよ。ニンニクと炒めた玉葱と卵の配分を試して、 それに生姜で少しアクセントを付けて新しいメニューを考えてみるよ」 一ヶ月以上工夫して作ったお好み焼きだけれど、納得いくような味には仕上がらない。 炒めた玉葱とニンニクがしつこいようだ。 両方とも少しずつ減らし、 生姜の卸し汁を加えたら、今までとは違うお好み焼きが出来た。 更に白菜のみじん切りを追加したら、まろやかなお好み焼きに仕上がった。 ソースも、ケチャップの量を増やし、肉と野菜から出るエキスを混ぜ、 塩分を抑えて完成させた。 「このお好み焼きを試食してくれるかな」 彼女の表情が変わった。 「これだわ。これならいけるわ。レシピを見せて」 「レシピなんてないよ」 「どうしたら、この味をいつも出せるか考えてよ」 「この数ヶ月、毎日のように工夫したから、レシピは頭に入っているよ」 一週間後にメニューにのせることにして、値段は800円に決定した。 名前はセプテンバー・イレブンとした。 このお好み焼きに衝撃的な名前を付けて、 店のイメージを変えたかったからだ。 セプテンバー・イレブンは徐々に注文数を増やし、 半額券で普通のお好み焼きを食べていた客も、評判を聞いてセプテンバー・イレブン を注文するようになった。 いつの間にか、このセプテンバー・イレブンの お陰で行列のできる店になっていた。 原価は250円で毎日270食しか仕込みが できなくて完売が続いた。 毎月の売上も250万円を越えるようになった。
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