「脳溢血だと思われるのでCTスキャナーで検査をします。そのあと処置をしますが 親族の方でしょうか」 「はい、同居している者ですが」 「親族の方を呼んでください。大変危険な状態です」 俺は彼女のご両親に初めて電話を掛けた。 「もしもし、持月と申しますが、松下恵子さんのお母さんですか」 「はい、そうです」 「恵子さんの具合が悪くなって、今病院にいるんですが、医者が直ぐに 病院に来てくれと言っているんですが」 病院の場所と俺の携帯電話の番号を知らせた。 彼女のご両親とは 会ったことがない。 俺のようなおじさんと同棲していますなんて言えないからだ。 彼女のご両親が病院に来るのを待って、医者が検査の結果を説明した。 脳の断面映像の黒い部分を指し、それが出血の部分だと言う。 大きさは野球のボール位で、助かる確率は低く、助かっても後遺症が 残るだろうとのことだった。 俺は何でもしますから、 彼女を助けて下さいとお願いした。 たとえ後遺症が残っても、 植物人間のようになっても生きて欲しいと思った。 医者は手術 の説明をしたが、ご両親がサインをした以外、何も覚えていない。 俺は彼女との関係や仕事のことをありのままに話した。
俺の人生で大切なこと 前のページ 次のページ