汚れた椅子や器具は買い換えることにした。
汚れを見た瞬間に、
お好み焼きまで不潔に感じて、客はまた来ようなんて思わないだろう。
食べ物屋の基本すらできていない俺は未熟だと思った。
今まで彼女が黙ってやってくれたことの有難さが解る。
真剣にやらないと店は潰れてしまう。
店を始めたときを思い出して、
ビール中ジョッキー百円も復活し、お好み焼き半額券も配った。
毎日の掃除も徹底し、店が終わると必ず自分でチェックをした。
徐々に客の数も増え、利益も元に戻ってきた。
彼女の様子に変化はないが、一ヶ月のリハビリで効果が出始め、
一人で歩けるまでに回復した。
顔の表情も徐々に豊かになったように見える。
トイレにも一人で行けるし、お風呂にも入れるようになった。
医者からは、リハビリをこのまま続ければ、徐々に失われた機能が
回復する可能性があると告げられた。退院して引き取ると
店に出る時間がなくなるし、食事の世話も大変だ。
彼女のご両親に相談すると、彼女と一緒に暮らしたいというので、
退院してご両親と生活して貰うことにした。
彼女が退院して両親と共に帰ると、
ほっとした。店のパソコンで売り上げを集計しようとして、
表計算のアイコンをクリックしようとしたが、
隣のアイコンと間違えてしまった。
ワープロが立ち上がってしまったので、
そのウインドウを閉じようとしたら、持月さんというファイル名が目に入った。
それをダブルクリックした。
