「こんな娘を店に連れて行ったら邪魔になるだけですよ。
それに店のことで忙しいでしょうから、
弥生のリハビリに連れて行くのも大変でしょう」
「店は私がいなくても従業員だけでやって行けますし、
弥生さんは二人で始めた店を見れば、刺激にもなって回復が
早くなるかもしれません。私の全ての時間を弥生さんの
為に使うつもりですので、リハビリにも毎日連れて行きます。
これからの私の生活は、弥生さんの回復を第一に考えてやっていきます」
「それほどまでに言われるなら、弥生に聞いてみましょう」
彼女の前に座り、何も解らない彼女にお母さんが話す。
「弥生、私達と暮らすのと、この人と暮らすのと、どちらが良い」
「弥生、何とか言ってごらん」
彼女は何も言わずに手を私の膝の上に載せ、そして私の手に触れた。
俺は彼女の手を握り、彼女の眼を見つめた。
彼女がウーウーと声を出すのを聞いて、
俺の眼から涙が溢れた。
「弥生の気持ちは解りました。でも条件があります。
毎週、弥生をここへ連れてきて頂けますか」
「はい、毎週必ず弥生さんをここへ連れて来ます」
俺は彼女を連れて女房のいる家に行った。
彼女とお好み焼き屋を始めて、
彼女がこんな状態になるまでのことを話した。
「俺は彼女のリハビリに付き添って、
一生暮らそうと思っている。
申し訳ないけれど、離婚して欲しい。
今まで通り、生活費は毎月銀行に振り込むし、
子供の養育費も払う」
「親父はそれでいいかもしれないけれど、お母さんが可哀想だよ」
「お母さんを騙しながら彼女と暮らした方が、もっと可哀想だと思わないか」
