翌朝、俺の背中を抱いて寝ている彼女を感じて目が醒めた。
俺のライフワークは、彼女を普通の生活が出来るまで回復させることだ。
計画は単純だが実行は難しい。
食事はバランスの良い健康食を摂り、
昼間は運動をして汗を流し、夜はぐっすり眠ることだ。
この中で最もやっかいなのが運動だ。
二、三日なら続けられても
継続するのが難しい。
特に彼女の回復には数年あるいは数十年という
期間が掛かるかもしれないし、それでも回復しない場合もある。
せめて俺との会話ができるまでには回復して欲しい。
朝食にパンに
納豆とサラダと鮪の味噌煮を用意した。
牛乳とフルーツヨーグルト
も冷蔵庫から出し、食事を始める。
彼女にフォークを持たせ、
レタスをゆっくり口に入れる。
ポテトと小さく切った鮪は
フォークで刺し、口の中に入れる。
トーストにバターを塗って、
その上に納豆をのせて彼女に持たせる。
あとは時間が掛かるが、彼女が自分で食べるのを待つ。
牛乳を口から溢しながら飲むのを見て、タオルで彼女の口を拭う。
彼女の胸から腿に、パンのカスと牛乳が跡を付ける。
俺は食事を終わり、彼女の背中に回り髪の毛を梳かす。
会話は無いけれど、彼女は病気の前と何も変わらない。
脇に両手を入れて彼女を抱いても、彼女は黙々と食べ続ける。
晩御飯はすき焼きにするので、牛肉を冷凍庫から出して、
お米を研いで炊飯器をセットする。
食事の残りを彼女の口に運び、
牛乳を飲ませる。
余り時間が掛かるので、つい手伝ってしまう。
食事が終わって彼女の歯を磨く。
シャワーを浴びさせて下着を着ける。
シャツとズボンは自分で着るように彼女に持たせたが、
時間が掛かり過ぎるので、着替えを手伝ってしまう。
こんな彼女にしたのは、二人で始めた店で無理をして働いたからだと思う。
