「ここの広島風お好み焼きがおいしいんですよ」 奥のカウンターに座り、ビールとお好み焼きのミックスを注文する。 「忘年会以来ですね。でもあなたの印象が変わったなあ」 「どんな風に変わったの」 「近ずき難い感じから、大胆でちょっと危ない感じかな」 お好み焼き屋の主人のなれた手さばきを見ながらビールを注ぐ。 「ここにはよく来るの?」 「ときどきね。どうしてもここのお好み焼きを食べたくなるときがあるから」 ビールを追加注文する。 「まだ外が明るい内から飲むビールは初めてかもしれない」 「ソースと焼きそばの匂いが、葱と香ばしく焼けているね」 「ソースがたまらないわ。さっきお昼をご馳走になったばかりで、 お腹がそんなに空いてないのに、この匂いが食欲を誘うわ」 「そうだね。今日会社へ行っていたら、いつもの平凡な一日になっていたのに、 映画を見てビールを飲んでいるとは愉快だね。 職場の弥生さんとは全く違うね」 「私はいつもの私よ」 「今日はどうして会社を休む気になったの」 「持月さんこそ、どうして一緒に休む気になってくれたの」 「毎日単調な仕事をしているだけだし、松下さんとなら仕事 なんかするより楽しいに決まっているからさ」
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