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俺の人生で大切なこと

飲食店でも開こうかな

仕事が終わると、彼女と食事をするのが日課となった。
居酒屋のときもあるし、ファミリー・レストランのときもあり、 俺達が飲食店を経営するんだったら、どんな店が良いかなんて話したときから、 飲食店の経営状況を話すようになった。
「不景気とかデフレとか、景気の悪いニュースが流れるけれど、 外食産業のバイタリティーを感じるのは、メニュ-の工夫とサービスの 簡略化と低料金だね。
かなりの努力をしているのが解るね」
 店の人件費の削減の仕方、メニューの品揃えと原価、客数、一人当たりの 支払い額をパソコンに入力する。
「この店の経営は微妙なところで、材料費が少し上がったら赤字になるが、 辛うじてやっていけるってところかな」
「そうね、人件費もかなり抑えているようだから、あとは料理人の 腕次第ってところかしら」
「この前の店は最低だったね。料理が塩辛くて客が来ない理由が解るよ」
「こうして色々な店を食べ歩いて解ることは、お客が集まる店って 料理の品数と味と質と量と値段とサービスと雰囲気が良くて、 その中で特にひとつかふたつ取り柄がある店なのね」
「俺たちにも、こんな店くらいなら経営できるかもね」
「どうしたら多くのお客さんに来て貰えるかだわ。それができれば費用を 掛けても儲けは出るわ」
「二入の退職金を出せば、店くらい持てるかもしれないね。
今の収入より稼げる可能性もあるし、他人にこき使われて老いていくより 良いかもね」
「私の退職金なんて、あまり期待できないわ。 まだ勤めて十年そこそこだから」
それからの二人は、目的ができたように食べ歩き、お客が混雑する店の特色を調べた。
コーヒーや紅茶の香が良いとか、本格的な中華料理だけれど低料金だとか、雰囲気が 良いとか、健康に徹していて良いとか、料理を出すのが早くて低料金だとか、 ボリュームがあって低料金だとか、必ずどれかのメリットと低料金がセットになって 繁盛している。
「俺たちが店を持つんだったら、目玉を何にするかだね」
「健康志向の料理と、創作料理でどうかしら」
「それに品揃えかな。料理が旨いのは当たり前で、 居酒屋風でファミリーレストランのような雰囲気なら、お客は入るかもね」
「店を持つには、調理師免許なんか必要でしょう」
「そうだよ。試験に合格するには二年の実務経験が必要なんだ」
「二年間ずっと飲食業で働くなんて、とてもできないわね」
「週に四日以上、一日六時間以上、二年間働けばいいんだ。知り合いに頼んでみるかな」
漠然とした二人の店を持つ空想をしながら、俺は知り合いの居酒屋で働き始めた。
水曜、木曜、金曜は会社勤務が終わった後、午後七時前後から深夜零時頃まで、 土曜は夕方五時から深夜零時まで働くことにした。
最初は立っているだけでも大変で、 慣れない仕事だから一ヶ月も続かないように思った。
しかし店の主人が熱心に 魚のさばき方や、煮物の旨い作り方を教えてくれ仕事が面白くなった。
勤めの仕事を休んでも、居酒屋の仕事は休まず、主人の技を横目で見て必死で学んだ。
修行でも時間給五百円を貰っているので、月に44000円の増収だ。
彼女とのデートは月曜か火曜だけになったが、どんな店にしようか、 どんな料理を出そうかと話が弾む。

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